先日、「併願校選定ガイダンス」を実施を実施しました。この保護者会ではおもに『私立高校情報』と『私立高校入試』についてお話を差し上げました。その際に使用した資料より、私立高校入試の最新トピックスを紹介したいと思います。
■2019年度 高校受験志望動向
2019年3月公立中学校等卒業予定者の進路希望の状況について、2018年11月に神奈川県教育委員会より発表がありました。それによると、高等学校(全日制)への進学を希望する生徒の割合は90.8%であり、前年度より0.8ポイント低下しました。
また、県内の公立高等学校(全日制)への進学を希望する生徒の割合は79.0%(前年度比1.3ポイント低下)となり、県内の私立高等学校(全日制)への進学を希望する生徒の割合は7.3%(前年度比0.2ポイント上昇)となっています。また、県外の私立高等学校への進学を希望する生徒の割合は3.9%(前年度比0.3ポイント上昇)となっています。このことから、首都圏私立大学の定員厳格化による難化や新しい入試制度下で臨む3年後の大学入試への不安感や「私立学校学費支援制度」の充実から大学付属校を選ぶといったケースが多かったと予想されます。しかし依然として、県内の公立高校への進学を希望する生徒はおよそ80%と高い数字です。
■ 推薦入試
※推薦Ⅰ、A推薦などと呼ばれ、1月中に実施されます。その高校を第一志望にしている生徒が受験でき、試験は面接のみというのが一般的です(作文・適性検査などを課す高校もあり)。
※公立高校の入学者選抜とは異なり、「内申数値○○以上」とクリアすべき基準があり、これは打診基準などと呼ばれます。多くの高校では、中学校との間で事前に入試相談(12月中旬)を行うため、内申などの打診基準を満たしていれば合格できますが、適性検査をおこなう高校は一定基準を下回ると不合格となります。
※私立推薦の内申基準は、中3後期中間内申のみで判断する高校がほとんどであるため、中3の成績が直接合否に影響します。5科内申や3科内申を基準とする高校も多いため、主要教科の内申は非常に重要です。
■ 書類選考
※面接や筆記試験を課さないで、調査書などの出願書類のみで選考する入試です。県内では法政大学第二と法政大学国際などが、第一志望校の生徒を対象にこの入試を実施しています。
※通学圏の高校では、桐蔭学園・中央大学附属横浜・桜美林・相模女子大学・麻布大学附属・武相、藤沢翔陵・藤嶺藤沢では併願型の書類選考入試を実施しています。これらの学校では、事前に発表されていた内申基準をクリアしていれば合格です。
※中央大学附属横浜は、出願資格が神奈川方式で127/135辺りを合格目安としました。しかし、実際は入試相談で打診のあった生徒の中で内申が高い順に合格が決まります。昨年度は定員45名に対し受験者・合格者が293名で、一昨年よりは合格者を多く出していますが、目安の内申では合格できないことは明らかです。
※学力検査を経ずに合格が決まるため、公立入試対策に全力を注げるというメリットがあります。但し、桜美林〔クラス分け〕や麻布大学附属〔学力確認〕では、テスト(一般入試問題と同じもの)を受ける必要があります。
■ 併願入試
上位校以外の多くの高校で実施している制度で、他校を第一志望としていて、「押さえ」として受験する方式です。公立共通選抜との併願のみ認める高校と、他の私立との併願も可能な高校とがあります。併願基準が高い一部の高校では入試の最低基準を設けていて、それを下回ると不合格となることがあります。この制度を利用する場合には必ず入試相談(☆)が必要です。
☆入試相談…12月15日以降に中学校と私立高校の間で、受験希望者の合格可能性(含併願優遇)を相談する制度です。
帝京大学・東京農業大学第一・八王子・朋優学院は、学力試験の点数が低いと不合格となります。神奈川県の共通選抜の問題よりも高いレベルの問題が出題されるため、基礎学力を身につけていることは受験の絶対条件です。
■私立高校・最新トピック
2020年度から導入予定の「新大学入試制度」を踏まえて、各私立高校では様々な取り組みを実施しています。その中で特に注目していただきたいトピックをまとめました。
●大学入学共通テスト…現行の「大学入試センター試験」に代わる日本の大学の共通入学試験として導入される。2020
年度より実施の予定。記述式問題が導入される。大学入試センター試験が全問マークシートによる解答であるのに対し、大学入学共通テストは、国語・数学の一部の問題で記述式問題が導入される。また、英語については大学入試センター試験で「読む」「聞く」の2技能が評価されていたのに加え、「話す」「書く」も含めた4技能が評価の対象となる。マーク式の問題も、思考力・判断力・表現力を重視した問題が問われるようになる。
●民間の英語資格・検定試験の活用…大学入学共通テストの枠組みの中で、民間の英語資格・検定試験が活用されることになっている。主なものとして①GTEC、②TOFEL、③実用英語技能検定(英検)、④TEAPなど。これらは「読む・聞く・書く・話す」の英語4技能を評価できることが確認された試験・資格とされている。
●eポートフォリオ…「主体的に学習に取り組む態度」の評価をするために、生徒の日々の学習成果や活動の記録を電子化して蓄積したもの。2017年9月より、高校でのeポートフォリオ運用がスタート。2019年度入試からその記録内容をweb出願ポータルサイトから各大学に送信する仕組みを構築し、入試に活用がスタート。
●アクティブ・ラーニング…学習者である生徒が受動的となってしまう授業を行うのではなく、能動的に学ぶことができるような授業を行う学習方法。生徒が能動的に学ぶことによって「認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る」内容だとされる。具体的には教師による一方的な指導ではなく、生徒による体験学習や教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワークを中心とするような授業のことを指す。
コメント